2017-08

ヒト型のインフルエンザウイルスは直接腸管症状を起こさない

 前項のタンパク分解酵素によるウイルスの活性化の話が分かりにくかったようです。説明図(出典が今となっては不明です。ごめんなさい。)があります。

Proteolytic activation

 インフルエンザウイルスの表面にはヘマグルチニン(hemagglutinin)があります。ヒトの細胞にウイルスが吸着するためには、ヘマグルチニンの内部にある融合ペプチド(図ではMembrane Fusion Domain となっています)が表出していなければなりません。

 そのためにはヘマグルチニンがヒトの酵素(図ではProtease; ハサミ)で開裂される必要があります。ヒトの酵素が働いて、融合ペプチドを表出したインフルエンザウイルスが感染性を持つことになるのです。

 前項では、開裂させられる酵素が体内のどこに分布しているかで、ウイルスの感染部位が決まっているという内容でした。

 インフルエンザ治療薬としてザナミビル(リレンザ)、ラニナビル(イナビル)といった吸入薬が使えるのは、流行しているインフンルエンザウイルス(ヒト型)が気道の酵素で活性化し、他の臓器に存在する酵素では活性化しないためです。
 ということで、少なくとも現在までに流行したインフルエンザウイルスは腸管で増殖することはありません。

 『今年のインフルエンザはお腹にくるからねぇ。』と言われるのをしばしば耳にします。本当はインフルエンザウイルスの直接的な影響によって消化器症状は起こっていないのです。

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