2017-06

いわゆる弱毒株のインフルエンザウイルスと強毒株の麻しんウイルス

 インフルエンザウイルスはオルトミクソウイルス科に、麻しんウイルスはパラミクソウイルス科に属するウイルスです。異なるウイルス科に属していますが、感染において似ている部分があります。

 インフルエンザウイルスではヘマグルチニン(hemagglutinin : HA)、麻しんウイルスではFタンパクというタンパクがウイルスの表面にあります。
 これらのタンパクが宿主のタンパク分解酵素で開裂すると、ウイルスが活性型になり(細胞膜に融合するペプチド領域が出現する)、細胞に感染できるようになります。

 すなわち、インフルエンザウイルスや麻しんウイルスは、どこの組織に存在するタンパク分解酵素でタンパク開裂するか(活性化するか)で感染部位が決まってきます。

 鳥インフルエンザウイルス強毒株は全身感染します。この理由はヘマグルチンが普遍的な細胞に存在するタンパク分解酵素(フリン等)で開裂するからです。鳥インフルエンザウイルス強毒株は腸管でも増殖するため、鳥の糞が感染源となることもあります。

 現在までにヒトで流行しているインフルエンザウイルスはすべて気道で増殖するものでした。これはヘマグルチニンを開裂させる酵素(トリプシン様酵素)が気道のみに存在しているからです(鳥インフルエンザウイルスの分類に照らせば、ヒトインフルエンザウイルスは弱毒株にあたります)。

 麻しんウイルスやムンプスウイルスは、全身の種々の臓器に存在するタンパク分解酵素でFタンパクが開裂します。これらのウイルスが全身感染を起こすのは、全身の細胞にあるタンパク分解酵素がウイルスの活性化に関わっているからです。

開裂部位
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