2017-08

麻しんワクチン接種の目的は麻しん発症防止だけではない

 麻しんウイルスが原因とされる疾患に亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis ; SSPE) があります。SSPEは麻しんウイルス感染後、数年におよぶ長い潜伏期の後に発症し、数ヶ月から数年の経過で(亜急性に)脳炎が進行する、予後が極めて不良な疾患です。 

 SSPEは1歳未満で麻しんに罹患した場合や、免疫が低下した宿主に(ステロイドホルモン、免疫抑制剤、抗がん剤などを長期に使用しているような状態)発症が多いのが特徴です。また、男児に多く、多くが学童期に発症します。

 潜伏期間が非常に長く、遅発性感染症のひとつと考えられます。

 SSPEの原因となる麻しんウイルスは、ウイルスMタンパク質をコードするM遺伝子に変異が生じ、通常のMタンパク機能が欠失しています。

 SSPEの発症に麻疹ワクチンが関連しているという証拠は現時点でありません。それどころか、麻疹ワクチン接種率の上昇により、SSPEの発生率が減ってきています。
 事実、麻しんワクチン接種の普及により、自然麻しん患者が見られなくなった欧米諸国において、SSPEはほとんど報告されなくなりました。
  麻しんワクチンを接種して、Mタンパク(抗原)に対する免疫を確実に獲得することで、SSPEの発症を抑制することができるためと考える研究者もいます。

 麻しんワクチンは『麻しん』と『亜急性硬化性全脳炎 (SSPE)』の2つの疾病を予防するワクチンといえるでしょう。
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