2017-06

伝染性単核症

 ガンマヘルペスウイルス亜科のEpstein-Barrウイルス(human herpesvirus 4:HHV-4)はBリンパ球を不死化(がん化)させるウイルスです。

 Bリンパ球ががん化するとリンパ腫として発症してしまいます。しかし、免疫学的に健康な人がリンパ腫として発症することはまずありません。

 健康人が Epstein-Barrウイルス(EBV)に感染すると、免疫系が感染したBリンパ球を壊してリンパ腫になるのを防ぎます。この時、感染者の血液中には感染Bリンパ球を攻撃する免疫細胞(主として細胞障害性Tリンパ球)が出現します。
 顕微鏡で細胞障害性Tリンパ球は単核球(異形リンパ球)として観察されるため、血液は単核症の状態となります。EBVは伝染性があるウイルスなので、伝染性単核症の疾患名となります。

 成人の伝染性単核症では強い免疫反応によって、発熱、咽頭痛、リンパ腺腫脹などの激しい症状が出現します。しかし、小児では免疫反応が強くないため、一般的に無症状か軽い症状で経過します。

 また、サイトメガロウイルスやヒトヘルペスウイルス6などの感染細胞に対する免疫反応によっても単核球が増えることがあり、伝染性単核症様症候群と言ってます。

 なお、疾患の英名は infectious mononucleosis です。よって、伝染性単核症が正式疾患名となります。
 Wikipediaやヘルスケアのサイト等で伝染性単核症と掲載されていますが誤りです(英名は mononucleocytosis ではありません)。
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後期研修中様へ

 Tzanck 試験は、本来、水疱内の多核巨細胞を検出するための試験です。封入体細胞を検出するための検査ではないことにご留意ください。
 Tzanck陽性細胞(多核巨細胞)の性状からは、その原因ウイルスが何か(特に単純ヘルペスウイルスか水痘・帯状疱疹ウイルスか)の区別は困難です。

 さて、ご指摘のように、水痘・帯状疱疹ウイルスおよび単純ヘルペスウイルスの感染細胞では、核内封入体は分かりやすいのですが、細胞質内封入体は目立ちません (ヘマトキシリン・エオジン染色等において) 。
 核内封入体も細胞質内封入体もどちらも明確に確認できる巨細胞であれば、通常、まずサイトメガロウイルス感染細胞を疑います。

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