2013-11

妊婦が初感染だった場合のサイトメガロウイルスの胎児への伝播率(CMV子宮内感染率)

 妊娠中にサイトメガロウイルス(CMV)初感染すると、高い確率で妊婦から胎児へウイルスが伝播することが知られています。
 妊娠中に感染した時期(妊娠週数)と胎児への伝播率を示した図がありますのご紹介します。

妊婦初感染時のCMV伝播率
クリックで拡大↑

 15の研究データの平均は黒点で表されています。
 それによれば、妊娠初期と中期では胎児への感染率は30%〜40%台となっています。これはCMV初感染妊婦における胎児への感染率として、以前から想定されていた感染率と合致しています。
 妊娠の後期になると胎児への感染率はさらに高まり、60%台となります。

 妊婦がCMVに初感染した場合、妊娠のすべての時期でCMVが胎児に伝播する可能性があること考えた方がよさそうです。

 ただし、感染した胎児が全員発症するとは限りません。一般的に妊婦が初感染して妊娠12週までに胎児に感染すると症状が重くなる傾向にあります。

インフルエンザワクチン

 インフルエンザ対策として、今年も本病院職員へのワクチン接種(基本全職員対象)が始まりました。

今年度(2013/2014冬)のインフルエンザワクチンの株は
A/California(カリフォルニア)/7/2009 (X-179A) (H1N1)pdm09
A/Texas(テキサス)/50/2012 (X-223) (H3N2)
B/Massachusetts(マサチューセッツ)/2/2012(BX-51B)(山形系統)

ちなみに、昨年度(2012/2013冬)のワクチン株は
A/California(カリフォルニア)/7/2009(H1N1)pdm09
A/Victoria(ビクトリア)/361/2011(H3N2)
B/Wisconsin(ウイスコンシン)/01/2010(山形系統)


 A香港型(H3N2)とB型のワクチン株が昨年度のものとは異なっています。

 A香港型(H3N2)株においては、鶏卵でウイルスを増殖させたビクトリア株の抗原性が流行株のものと離れていました。そこで、鶏卵で増殖させても流行株との抗原性が似ているテキサス株に変更されました。

 また、B型に関しては、流行株自体が昨年度からかなり変わってきたとの判断で変更されました。昨年度のウイスコンシン株はクレード3、今年度のマサチューセッツ株はクレード2に分類される株です。B型株といえど抗原的に別物と考えた方が良いです。

 日本のインフルエンザワクチンはA型2株B型1株の3価ワクチンなのですが、米国ではA型2株B型2株の4価のものも販売されています。

今後のCMV感染症

 職場の机を整理してたら、3年前の講演のパンフレットが出てきました。

ランチョンセミナー


 免疫グロブリン製剤はサイトメガロウイルス(CMV)感染症に直接関与するのではなく、細菌感染症対策を通して間接的にCMV感染症対策となる旨を発表しました。

 以前は私に臓器移植後の CMV感染症対策の問い合わせがしばしばありました。しかし、このセミナーを境にして、最近はめっきり問い合わせが少なくなりました。臓器移植の現場でサイトメガロウイルス(CMV)感染症対策マニュアルが整備されてきたからだろうと思います。
 このこともあって、最近、私はもっぱら先天性感染症としてのCMV感染に関わるようになってきてます。(先天性感染症繋がりで、先天性風疹症候群やトキプラズマ症、HIV感染症にも手を出してます。)

 臓器移植後のCMV感染症患者には、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、フォスカルネット等の抗CMV薬を使用できます。仮にそれらの投与によって骨髄機能障害などの副作用が出たとしても、血球輸血などの対応策が講じられます。
 しかし、胎児に対して抗CMV薬の投与はなかなかできません。抗CMV薬は副作用が強いですし、胎児に抗CMV薬の副作用が出現したら、その後の対応ができないからです。抗CMV薬は感染児の出生後にやっと使用できる状態です。

 感染症においては感染予防、診断・治療、後遺症対策が重要です。さらに先天性感染症においては、全胎児を対象にした先天性感染の診断、感染後の重症化阻止のための研究が必要になってくるかと思います。

 先天性感染症に対しては、まだまだやる事がたくさんありますね。

塩素消毒の濃度(ppm と mg/L)

 ノロウイルス対策の広報を出すというので、日南市役所から消毒薬の濃度について問い合わせがありました。
 無難なところで内閣府の食品安全委員会のホームページを紹介しておきました。

 でも、ホームページには次亜塩素酸ナトリウムの濃度が全部 ppm 単位で書いてあります。というわけで、ちょっと説明。

 ppm は parts per million の略です。million は 100万のこと。よって、ppm は全体を100万ppmとして表わしています。よく耳にする百分率(パーセンテージ)では全体を 100%で表わしています。

 ということで、
100% = 100万ppm
 1% = 1万ppm(1% = 10,000ppm)となります。

 次亜塩素酸化合物の濃度を表す単位として、もうひとつ mg/Lがあります。mg/L は分子がmgで重さ、分母がLで容積です。
 実は 1ppm = 1 mg/L で同じなのです。

 ppm は百分率と同様に割合を示しているので、液体の薬品を水でどれくらいの割合で薄めているかを表す時などに使われます。
 一方の mg/L は、重さがある固形物を水溶液にする濃度として使われます。

 『遊泳用プールの遊離残留塩素濃度は、0.4mg/L以上で1.0mg/L以下であることが望ましい』と、厚労省の局長通知が出されています。
 通知では mg/L が単位として使われています。すなわち、プールの塩素消毒剤はさらし粉(次亜塩素酸カルシウム)など固形物の利用を前提としていることが分かります。

母体の風疹ウイルスの感染時期と児の症状出現頻度

 THE LANCET という科学雑誌に風疹についてJE Banatvala らがセミナーをしています。
( Lancet, vol 363 Issue 9415, 2004年,pp1127-1137)

 母体の風疹ウイルスの感染時期と先天性風疹症候群の発生頻度について記されていますので、日本語にしてみました。

風疹症候群感染時期
↑ クリックで少し拡大

 やはり、風疹ウイルスは妊娠週数が早い時の感染ほど、児に影響を与えることがわかります(妊娠5ヶ月まで)。

 妊娠8週までの感染なら、先天性心疾患、難聴、白内障の三徴候がそろいやすく、妊娠13週以降でも難聴となる可能性があります。
 妊娠20週を過ぎた後では、母体が風疹ウイルスに感染しても児への影響は少なくなっています。

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