2017-10

どんな所見が認められたら胎児へのサイトメガロウイルス感染の可能性を強く疑うか

 インフルエンザや感染性胃腸炎がの流行のピークが過ぎました。ぼちぼち、ブログを更新したいと思います。
 
 さて、母体がサイトメガロウイルスに感染した際に、どのような症状・所見が認められたら、胎児への感染の可能性が高くなるか? この疑問について、神戸大学産婦人科との共同研究を行いました。

 
 サイトメガロウイルス感染を示唆する所見として以下の症状・所見・検査結果について調べてみました。

1 母体の感冒症状
2 胎児超音波異常所見
3 母体血清 抗サイトメガロウイルス IgG・IgM抗体価
4 サイトメガロウイルス抗原血症(アンチジェネミア)陽性
5 IgG 抗体 avidity index 低値(初感染疑い)
6 母体血・尿・膣頸管粘液中のサイトメガロウイルスDNA陽性


 結果として多変量解析によって、

2  胎児超音波異常所見
5  IgG 抗体 avidity index 低値
6' 腟頸管粘液中サイトメガロウイルスDNA陽性(血液、尿検体ではない)


 これらの3因子が先天性サイトメガロウイルス感染の独立した予測因子として選択されました。
 
 言い換えれば、単に母体のIgM抗体が陽性であっても、胎児へのサイトメガロウイルス感染を積極的に疑う因子とはならないということです。また、臨床的検査として定期的に詳細な胎児超音波診断を実施して、胎児の状態を確認することが非常に重要だとも言えます。

『母子感染の実態把握及び検査・治療に関する研究 』の研究成果

 日本医療研究開発機構 (前 厚生労働科学研究) 『母子感染の実態把握及び検査・治療に関する研究 ( http://cmvtoxo.umin.jp ) 』 では、妊娠中のサイトメガロウイルス外因感染を防ぐために、妊婦さんに感染リスクを減らすための 7項目を指導しています。

 この指導を行ったところ、先天性サイトメガロウイルス感染の数が本当に減ってしまいました。
 研究班として実態把握のための先天性感染者数が集まりにくいという状況になりましたが、指導・啓発による感染予防効果が絶大だということが判明しました。

 この研究班の最大の研究成果ということに...。

7か条

啓発の方法は?

 明けましておめでとうございます。

 来週、行政視点での母子感染対策の講演依頼を承っています。

そこで、某政令指定都市における昨年度の母子手帳交付状況を調べてみました。

妊娠週数と母子手帳の届け出時期の内訳
11週以内 92.3%
12〜19週 6.1%
20〜27週 0.9%
28週以降 0.5%
出産後 0.08%
 
 7%強が妊娠12週以降の母子手帳交付です。
 母子手帳を使った母子感染対策では、12週以前の胎芽期(胎児の臓器が形成される時期、母子感染の影響を受けやすい時期)の啓発が1割弱の妊婦様に対しては困難だとなります。

 となると、妊娠前の啓発も不可欠ということです。

 どの時点でのどんな啓発が効果的なのでしょうか。
 学校教育の時?(私見として、学校では母子感染よりも、まずは生命尊厳を学んで欲しいと思います。)

 議論する点はたくさんありそうです。

風しんや伝染性紅斑(リンゴ病)で気をつけること

 風しんは別名『三日はしか』という言うくらいで、主な症状は3日ほどで消失していきます。ウイルスの排泄は発しんが消失すると急速に減少するため、発しんが消失するまで学校を出席停止とすることになっています。
(参考;http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/1334054.htm

 でも、風しんウイルスの排出は感染者が発症する(発しん出現)時の1週間ほど前から始まっています。もしこの頃に感染者からウイルスが同居者らに伝播したとしたら、最初の感染者が治癒する頃に次の感染者がウイルスを排出する頃になります。すなわち、患者が治癒して学校・仕事に行きだした時は、保護者や同居者が最も注意すべき感染源となっているということです。

風しん経過

 同様の疾患として伝染性紅斑(リンゴ病)があります。伝染性紅斑の原因はパルボウイルスB19ですが、これに対するワクチンはなく、現在の成人の50~80%の方がパルボウイルスB19に対する免疫を持っていません。

 伝染性紅斑の患児の保護者や同居者は、患児が治った後、次は自分が感染源になっている可能性があります。医療関係者はこのことを患児(発病者)の保護者(同居者)によく説明しておくことが必要です。

伝染性紅斑経過

 『紅斑が出た後で全身状態が良くなれば、学校・仕事に行っていい。』というだけでなく、『その時には、家族が感染源となってるかもしれないので、マスク着用などの配慮をしてください。』 という旨を説明して欲しいと思います。

(図はクリックで拡大できます。)

先天性CMV感染の発生率の疑問

 2015年4月20日-24日
 国際サイトメガロウイルス(CMV/βヘルペスウイルスワークショップがオーストラリアのブリスベーンで開催されます。

 ここのセミナーで提示されるであろう資料に目がいきました(下の写真)。血清抗体陽性率(Seroprevalence)が高ければ、先天性CMV感染の率は高くなり(左側 A のグラフ)、先天性風疹症候群(右側 Bのグラフ)の発生率は低くなるというものです。

 先天性風疹症候群はワクチン接種で抗体陽性率を高めておけば、先天性風疹症候群の発生率は低くなるという、今の予防接種対策に繋がるところがあります。

 しかし、CMVの場合は抗体陽性率が高くなれば先天性CMV感染が増えてくるというAの資料は慎重に議論するところがあります。
 近年、産科・小児科関連学会において唱えられている、『日本において妊婦のCMV感染率が低下しており、妊娠中のCMV初感染によって、先天性CMV感染が増えているであろう。』という説に相反するものだからです。

 もちろん先天性CMV感染と先天性CMV感染症という重症度は考慮されていません。先天性CMV感染については1983年に Stagno らが発表したデータで、当時とは検査方法も異なります。

 今一度、本邦における先天性CMV感染の発生率を詳細に検討する必要があるかと考えています。

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免疫グロブリンの種類と抗体検査法

 抗体が陽性か陰性、抗体価が低値か高値かという評価だけでは、判断を誤ることもあります。

 免疫グロブリンのクラス別の特徴および抗体測定法について表にまとめてみました。
 抗体の検査を実施する場合には、検出測定する免疫グロブリンの種類、検査法の特徴を把握した上で、測定結果を解釈しなければなりません。

 ↓クリックでちょっと拡大

免疫グロブリン特徴


抗体測定法

 また、感染症の診断のためには、抗体検査の結果のみならず、臨床症状および微生物学的検査の結果をも総合的に判断する必要がありまます。


臨床検査データブック 2015-1016

 臨床検査データブック 2015-2016年度版

 サイトメガロウイルスに関して、抗体検査、抗原検査、核酸検査、薬剤耐性遺伝子検査など8項目を執筆しました。

 単に検査値が異常か否かで判断するのではなく、検査値となるメカニズムや結果の評価法について記載してあります。考える検査法を目指した本です。
 お値段 4,800円 内容の濃さからすると、安いと思っております・・・。

臨床検査データブック2015-2016

先天性サイトメガロウイルス感染症の記事(2月19日読売新聞夕刊)

 2月19日付の読売新聞夕刊(東京本社版)を入手しました。先天性サイトメガロウイルス感染症の妊娠管理等について記事が掲載されています。私もサイトメガロウイルス感染細胞の免疫染色の写真を提供しています。

 さて、今年1月から実施されている医療費助成に係わる難病および小児慢性特定疾病として、『先天性風疹症候群』と『先天性ヘルペスウイルス感染症』、二つの先天性感染症が含まれています。

 しかし、予防接種による予防法がなく、患児数が圧倒的に多い『先天性サイトメガロウイルス感染症(および、その他の先天性感染症)』が含まれていません。認知度を問題とするならば、一般の方への認知度がさらに低いと思われる先天性疾患は医療費助成対象疾病に含まれています。

 個人的には、先天性サイトメガロウイルス感染症は小児慢性特定疾病に含まれるべき疾病であると考えています。

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コメントについて

 コメント欄に質問等をお寄せ下さり、ありがとうございます。

 現在、先天性感染症検査の以外にも、インフルエンザやノロウイルス感染症(昨年からはデングウイルス感染症対策やエボラウイルス感染症も)対策等に時間を費やしており、ご質問に十分な返答をできないでおります。
 返答を期待してコメントされる方に対して大変申し訳なく思っております。

 とはいえ、抗体価のみの問い合わせにおいて、返答に困ってしまうことも多々あります。

 サイトメガロウイルス感染は潜伏感染を含めた複雑な感染様式があり、免疫応答も個人差があります。
 抗体検査においてはどの検査法を利用したかのか、どこの検査施設にて実施したのか、抗体価の比較はペア血清を用いたものか(採取日が異なる血清を同じ検査系で比較いているのか)などを考慮せねばなりません。

 胎児検体を用いない母体の抗体検査は、あくまでも胎児感染の確率を推測するに留まります。胎児の超音波所見や胎児検体のウイルス学的な検査所見などをあわせて、総合的に胎児感染を判断すべきです。

 こちらからの質問にも答えてくださる状態で私宛にご連絡をくださると、より的確な情報を提供できるだろうと考えております。

 愛泉会日南病院(代表電話 0987-23-3131、Fax 0987-23-8130)
 研究所 峰松宛

 勝手ながら、実験中や診察中は電話でのご質問に対応ができません。ご了承ください。

サイトメガロウイルス抗体検査における保険診療と問題点

 保険診療において、ウイルス抗体価検査料金は原則的に以下のようになっています。

1. 同一ウイルスについてIgG抗体価およびIgM抗体を測定した場合は、いずれか一方の点数を算定する。
2. 免疫グロブリンクラス別ウイルス抗体検査と定性・半定量・定量ウイルス抗体価検査 (例として補体結合反応法:CF法) を合わせて測定した場合、いずれか一方の点数を算定する。

 ということで、抗サイトメガロウイルスの抗体検査において、
1) IgM抗体とIgG 抗体を同時に測定した場合は、どちらかの検査料金が自費扱いになります (EIA法によるIgM抗体検査とIgG 抗体検査の料金は同額です)。
2) CF法の抗体検査とIgM抗体あるいはIgG抗体検査を実施した場合は、通常は検査費用が安いCF法測定分を自費請求されます。

 ちなみにCMV抗体検査の実施判断保険点数は、EIA法による抗サイトメガロウイルスIgG抗体測定およびIgM抗体測定がそれぞれ230点(2300円、3割負担で690円)。CF法の保険点数は79点(790円、3割負担で237円)です。

サイトメガロウイルス抗体検査において、初感染の可能性があるのか、最近の抗原刺激(活動的な感染状態)があったかなどを判断するためには、IgG 抗体とIgM抗体を同時測定することが望ましいです。しかし、IgG 抗体とIgM抗体の同時測定は保険診療として認められておらず、2300円分の被検者負担金が生じてしまうことになります。

サイトメガロウイルスに限らず、先天性感染症(特にTORCH症候群)に関して、妊婦様の検査負担金が安くなるような保険検査制度を望んでいます。

インフルエンザ対策ポスター

 厚生労働省インフルエンザ対策の啓発ポスターにおいて、マメゾウくん&アズキちゃんの登場で 『まめにマスク、まめに手洗い』が合い言葉になりました。このポスターに『うがい』を推奨する言葉はありません。愛知県の健康づくり応援イメージキャラクター、エアフィーはうがいのキャラクターなのですが、愛知県のポスター標語にすら『うがい』の文字はありません。

インフル対策ポスター

インフル対策 愛知H25年



 インフルエンザの検査で綿棒を鼻腔に突っ込まれてウイルス抗原検査を行なった経験がある方も多いかと思います。すなわち、インフルエンザウイルスは主に鼻腔に感染しています。加えて、インフルエンザウイルスは鼻腔粘膜に吸着後、すばやく細胞の中に侵入します。

 普通のうがいで鼻腔の奥まで洗浄しているでしょうか? また、ウイルスが細胞に吸着してから細胞内に侵入しする前に、頻回に(約20分ごとに)うがいを行なえているでしょうか?

 『うがい』によって口腔内の細菌の希釈洗浄ができ、インフルエンザウイルスを活性化するプロテアーゼが減少するといった報告はあります。しかし、インフルエンザウイルスが感染するのは、口腔だけに限らず、うがい液が通常は到達しない鼻腔深部です。
 やはり、うがいよりも、手洗い・マスク・咳エチケットによる対策を実施した方が感染予防効果は高いようです。

 目くじらたてて、うがいを否定してるわけではありません。うがいを行なうと口腔内の細菌やプロテアーゼの希釈はできますし、喉の気持ちも良くなります。

 ただし、インフルエンザ対策として、手洗い・マスク・咳エチケットがより大切だということを、ポスターで感じてもらいたいと思います。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/dl/inful-poster25c.pdf

Debian 利用中

 8月の雷雨以降、個人的にLinux Mint を使っていました。Linux Mint はネット検索や文章・図表作成には適しています。
 でも研究用アプリケーションを使う場合は、同じLinuxでも Debian で動かした方が私には合ってるみたいです。しばらく、Debianで実験解析してみます。

渦巻きマークのDebian。
Debian の名前は、開発者 Ian Murdock の Ian と、彼のガールフレンド Debra Lynn の Debraを合わせたもの。
コードネームは「トイ・ストーリー(ピクサー)」のキャラクター名。

ウィキペディア『Debian

Debian7.jpg


免疫グロブリンの特徴

 免疫グロブリンにはIgG, IgM, IgA, IgD, IgEの5つの分画があります。どの抗体も抗原と結合するのは共通なのですが、免疫学的な機能が異なります。
 感染症の抗体検査においてIgDとIgEは少量のため、反応系に大きな影響を及ぼしません。感染症検査においてはIgG抗体、IgM抗体、IgA抗体を測定して、感染症として意義がある免疫反応が起こっているかを調べています。

 5つの免疫グロブリン分画の特徴を表にしてみました。(クリックで拡大)

免疫グロブリンの特徴と機能


サイトメガロウイルス (CMV) 抗体検査の原則

しばしば質問を受けるのですが、臨床の先生方にとっては判断が難しいようです。ここでCMV感染の特徴とその抗CMV抗体検査の原則を書き並べてみます。

CMV感染の特徴(潜伏感染

1. 初感染の後に潜伏感染し、既感染状態となった後にも再活性化により回帰感染となる。すなわち、CMVは終生持続感染し、一度感染すると体内から取り除くことはできない。(インフルエンザウイルスなど急性感染を起こすウイルスとは異なる。)
2. 初感染時、回帰感染時、または異なるCMV株による感染(重感染)が起こった時に抗原刺激が起こる(IgM抗体が陽性となる)。
3. 潜伏感染の時に感染症として発症することはない。また、他人や胎児に移すこともない (http://aisenkaicdc.blog.fc2.com/blog-entry-35.html)。

抗CMV抗体検査の原則

1. IgG抗体価に正常値や異常値は存在しない。IgG抗体陽性であることは感染したことを示すに過ぎない。
2. IgG抗体が上昇したことを証明するには、時間をおいて再度ペア血清として測定する必要がある。IgG抗体価が高値であることと、抗体価上昇の意味は全く異なる。
3. 補体結合反応(CF)による抗体検査は原則として推奨しない。感度・特異度に問題がある。
4. 最近のCMV抗原刺激により産生される抗体として、IgM抗体やオリゴマーIgA抗体があり、これらを検出できれば活動的なCMV感染が最近あったかを証明できる。
5. 活動的なCMV感染イコール初感染ではない。既感染となっても回帰感染や重感染による活動的CMV感染は起こる。すなわち、IgM抗体陽性は初感染の証明にはならない。
6. 感染時期(初感染時期)を推定する検査として、抗CMV IgG抗体Avidity Index 測定が試みられている(http://www.med.kobe-u.ac.jp/cmv/igg.html)。


Linux 利用中

 8月の雷雨以降、パソコンの状態がおかしくなりました。iPad で生活情報は得ていましたが、iPadだと閲覧は良いものの、画像作成等にはイマイチです。

 お古の MacBook を調達したのですが、新しい Mac OS X では動作がモッサリしてしまい、快適に使えません。

 そこで、この MacBook を Linux マシンとして利用することにしました。
 さまざまな Linux 派 OS がある中、旧Windows の操作性に似た LinuxMint 17 Cinnamon エディションを選択しました。( LiuxMint の特徴: http://linuxmint-jp.net/feature.html )

#1 Ubuntu には日本語Remix インストールパッケージがあります。ただし、生物学分析には LinuxMint の方が使い勝手が良かった。Ubuntu の Unity ユーザーインターフェースは自宅用として適していると判断しました。

 さて、LinuxMint をインストールしたところ、日本語の表示はできるのですが、日本語入力ができません。ライセンスの関係で日本語パッケージは作成できないとのこと。日本語化支援サイトのパッケージを利用してシステムを再構築しました。


 備忘録としてLinuxMintにおける日本語化の方法を記載しておきます。

===================================

まず、LinuxMint をインストール
http://linuxmint.com/
より目的のエディションの ISO イメージをダウンロードし、インストール。
インストール方法は下記参照
http://linuxmint-jp.net/documentation/japanese_17.0.pdf


1 日本語化パッケージをインストールして、アップデートコマンドで最新の状態にする。

  メニューを開き、プログラムの一覧の"アクセサリ"を開きその中に"端末"があるのでそれを起動する。端末上で以下のコマンドを実行する。行の最初の"$"は入力する必要はない。

$ wget -q http://packages.linuxmint-jp.net/linuxmint-ja-archive-keyring.gpg -O- | sudo apt-key add -
$ sudo wget http://packages.linuxmint-jp.net/sources.list.d/linuxmint-ja.list -O /etc/apt/sources.list.d/linuxmint-ja.list
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get dist-upgrade

2 次に日本語入力プログラム(Fcitx と Mozc) のインストール。
(#2 Mozc (モズク)は Google 日本語入力をオープンソース化したもの。)

$ sudo apt-get install fcitx fcitx-mozc fcitx-frontend-gtk2 fcitx-frontend-gtk3 fcitx-frontend-qt4 fcitx-frontend-qt5 fcitx-ui-classic fcitx-config-gtk mozc-utils-gui

3 最後にFcitx を有効化する。

$ im-config -n fcitx

===================================

Linux.jpg


 うまく日本語入力化に成功しました。

 貯金して新しいマシンを買うまでは Linux で乗り切ろうと思っていたのですが、こいつを使ってみるとサクサクと動作が機敏でなかなか良いです!

 しばらくは、 LinuxMint ユーザーで過ごします。

乳児ボツリヌス症

美味しそうなハニートースト

ハチミツ

よく見ると、『一歳未満の乳児には食べさせない様に』との注意書きがあります。

その理由は乳児ボツリヌス症。
ハチミツの中にボツリヌス菌が入っていることがあります。ボツリヌス菌が乳児の体内で増殖し、ボツリヌス毒素を産生してしまうために起こります。
お誕生日を超えると、ボツリヌス菌の体内での毒素産生を抑制できるようになるので、発症しなくなります。

ボツリヌス菌は芽胞という構造物になれるため、非常に熱に強くなります。芽胞は100℃の加熱では死にません。

1歳まではハチミツを与えないほうが安心です。

水痘ワクチン

水痘(みずぼうそう)のワクチンが10月から定期接種化される予定です。

 世界的に使用されているこのワクチンは、大阪大学名誉教授の故 高橋理明先生が開発した日本原産の生ワクチンです。

 一般的に、生ワクチンは(病原体が生きているために)白血病などの免疫不全者には接種されません。しかし、水痘ワクチンは弱毒化が進んでおり、免疫不全患者にも接種でき、しかも免疫を残せるというすぐれたワクチンです。
 すなわち、白血病患者、悪性腫瘍患者、ネフローゼ症候群、気管支喘息、アトピー性皮膚炎などの易感染性の方に、むしろ優先して接種すべきワクチンなのです。

 水痘ワクチンの説明書の接種対象者の欄をご確認ください。
http://www.biken.or.jp/medical/product/images/fa-v/document.pdf

 高橋先生の功績については、世界のウイルス学者が
Dr. Takahashi’s is “the only vaccine successful against any of the human herpes viruses.”
(ヒトのヘルペスウイルスに効果を示すワクチンにおいて、高橋博士が開発したワクチンが唯一成功したものである)と認めています。

 開発者の高橋先生は昨年の12月16日にお亡くなりになりました。厚生労働省の専門家会議で水痘(小児用)ワクチンを定期接種にすることを決めたのは今年1月15日。高橋先生の墓前に良い知らせを届けられたと思います。

検査に関して

 先天性感染症検査に関してご連絡です。

 今までは妊婦さん個人からの問い合わせにも応じておりました。しかし、問題点も浮かび上がってきています。

1 検体採取することは医療行為であり、医療施設の協力がないとできないこと。
2 医療的な情報が少なく、こちらで状況がつかめない場合があること。
3 検査が必要か否かの判断は、本来、臨床医が行うべきこと。
4 説明後の妊婦さんの意思の確認が難しいことがある場合があること。

 などなどです。

 検査等についてのご質問やご希望については、医師を通じてご相談くださればありがたいと考えています。

当院の宝物

 当院の前院長、故 大堂庄三先生が残した重症心身障害児医療のためのカード記録です。

 デジタル記録化して、保存整理しようと思ってます。
 それにしても膨大な量があります。当院の宝です。


ファイル

心理的反発

サイトメガロウイルスの研究内容を、臓器移植から先天性感染症にシフトした時から感じていることです。

臓器移植後の感染症では、発症早期に迅速診断を行うほど救命率が高くなります。

先天性感染症でもそれは同じ。『出生前に感染が分かれば、出生後直ぐの対応ができる、先天感染症児の救命率の向上に役立つはず。』と考えていました。

でも、現実は全く逆でした。
もちろん、妊婦さんに研究検査のインフォームドコンセントを行い、検査実施の承諾を得ていました。
でも、先天性感染の研究目的の検査を実施しただけ、結果的に人口流産が増えました。特に胎児が発症しているか定かではない状況下での中絶が増えて行きました。

ある法律家が『胎児にはまだ人権がない。胎児自身には自らの命を選ぶ権利はない。親だけが胎児の命の選択権を持っているんです。』と言ってきました。

そうは言われても、納得できません。
法律は人に適応させるもの。では、人以外の生物は、人権みたいな権利は考慮しなくても良いの?
ヒトを含んだ全ての生物の営みが根本にあって、それは社会構築や法律遵守以上に大事なんじゃないの?!

こんな反社会的、反法規的な考えのまま、今だに先天性感染症の研究を続けています。

検査のジレンマ

 久しぶりの更新です。思うことがあり、少し更新を止めていました。

 サイトメガロウイルスIgG抗体 Avidity Index を測定させていただいた妊婦さん。妊婦健診に来られないと心配していたら、いつの間にか他の産科施設で人工流産術をされていたとの連絡がありました。(他にさまざまな理由があったのかもしれませんが…。)

 Avidity Index は被験者(妊婦さん)が病原体に初感染か否かを評価する手段です。すなわち、胎児への感染確率の推測にAvidity Index 検査は使えます。でも、胎児が感染したか否かを調べる検査ではないのです。(胎児が感染したか否かを知るには、羊水等の胎児検体が必要となります。)

 私に検査を依頼される妊婦様にお願いがあります。
 新しい検査法等は胎児・新生児への早期診断・治療に役立てることを目標として研究を進めてきました。人工流産への選択を増やすために実施しているわけではないことをご承知おきください。

 妊婦さんに対しては、きちんとした検査情報の提供ができる産科医療体制の確立が急務だと思われました。

原因と結果

 最近、残念ながら先天性風しん症候群の報告が相次いでいます。このことが影響してか、行政の告知版やブログ等に先天性感染症の記事を見かけるようになりました。

 記事を読んでいて、違和感を感じる時があります。他の方はどうかわかりませんが、私は強く感じてしまうのです。

 それは病原体の種類の欄に疾患名が書いてあること。
麻しん、風しん、水痘は疾患名であって、麻しんウイルス、風しんウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルスが病原体名です。ネット記事において、これら病原体名と疾患名が混在しているものを良く見かけます。


 他にも、病原体名 <-------> 疾患名の関係でしばしば混在されて記載されているものに・・・

ムンプスウイルス(または流行性耳下腺炎ウイルス) <-------> おたふくかぜ、流行性耳下腺炎
パルボウイルスB19 <-------> 伝染性紅斑(リンゴ病)
梅毒トレポネーマ <-------> 梅毒
 などなど

 私が『病原体名 と疾患名の混在』に強く違和感を感じる理由はこうでしょう。
 すなわち、病原体は原因であり、疾患は結果だからです。原因を挙げる欄に、結果が列記されていることに対して、私の思考は拒否反応を起こしているものと思われます。

厚生労働科学研究 先天性サイトメガロウイルス感染

 あけましておめでとうございます。

 昨年のクリスマス号の教育医事新聞に以下の厚生労働科学研究の記事が紹介されていました。
 私もこの研究班の分担研究者でしたので、余計に感じるのかもしれませんが、縦書きタイトルがちょっと残念です。
 病原体名と疾患名(または状態)が中途半端になってて、違和感を感じてます。先天性サイトメガロウイルス感染(症) にして欲しかったな。

教育医事新聞

 とはいえ、上記の記事内容は研究班(山田班)の成果を評価してくださったものと、ありがたく受け止めています。

母子感染症の班会議

 12月5日に東京大学医学部附属病院において、厚生労働科学研究補助金『母子感染の実態調査把握及び検査•治療に関する研究』(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)の班会議が行われ、参加してきました。

 本格的な研究に向けて、準備や方法の確認を行いました。
 妊婦さんへのコンサルトの問題等、まだまだ課題が山積していますが、ともかく研究を進めなければなりません。

厚労省班会議

関西テレビで先天性CMV感染症特集の放送

 12月4日に関西テレビのスーパーニュースアンカーで先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症の特集放送がありました。

 この放送に先立ち、関西テレビにCMV粒子の写真を提供させていただきました。
↓(この写真です)
CMV粒子


 放送で現在の先天性CMV感染症の問題が浮かび上がっていたようです。
内容については以下の関西テレビのHPをご参照ください。

 平成25年12月4日スーパーニュースアンカー18時台の特集


妊婦が初感染だった場合のサイトメガロウイルスの胎児への伝播率(CMV子宮内感染率)

 妊娠中にサイトメガロウイルス(CMV)初感染すると、高い確率で妊婦から胎児へウイルスが伝播することが知られています。
 妊娠中に感染した時期(妊娠週数)と胎児への伝播率を示した図がありますのご紹介します。

妊婦初感染時のCMV伝播率
クリックで拡大↑

 15の研究データの平均は黒点で表されています。
 それによれば、妊娠初期と中期では胎児への感染率は30%〜40%台となっています。これはCMV初感染妊婦における胎児への感染率として、以前から想定されていた感染率と合致しています。
 妊娠の後期になると胎児への感染率はさらに高まり、60%台となります。

 妊婦がCMVに初感染した場合、妊娠のすべての時期でCMVが胎児に伝播する可能性があること考えた方がよさそうです。

 ただし、感染した胎児が全員発症するとは限りません。一般的に妊婦が初感染して妊娠12週までに胎児に感染すると症状が重くなる傾向にあります。

インフルエンザワクチン

 インフルエンザ対策として、今年も本病院職員へのワクチン接種(基本全職員対象)が始まりました。

今年度(2013/2014冬)のインフルエンザワクチンの株は
A/California(カリフォルニア)/7/2009 (X-179A) (H1N1)pdm09
A/Texas(テキサス)/50/2012 (X-223) (H3N2)
B/Massachusetts(マサチューセッツ)/2/2012(BX-51B)(山形系統)

ちなみに、昨年度(2012/2013冬)のワクチン株は
A/California(カリフォルニア)/7/2009(H1N1)pdm09
A/Victoria(ビクトリア)/361/2011(H3N2)
B/Wisconsin(ウイスコンシン)/01/2010(山形系統)


 A香港型(H3N2)とB型のワクチン株が昨年度のものとは異なっています。

 A香港型(H3N2)株においては、鶏卵でウイルスを増殖させたビクトリア株の抗原性が流行株のものと離れていました。そこで、鶏卵で増殖させても流行株との抗原性が似ているテキサス株に変更されました。

 また、B型に関しては、流行株自体が昨年度からかなり変わってきたとの判断で変更されました。昨年度のウイスコンシン株はクレード3、今年度のマサチューセッツ株はクレード2に分類される株です。B型株といえど抗原的に別物と考えた方が良いです。

 日本のインフルエンザワクチンはA型2株B型1株の3価ワクチンなのですが、米国ではA型2株B型2株の4価のものも販売されています。

今後のCMV感染症

 職場の机を整理してたら、3年前の講演のパンフレットが出てきました。

ランチョンセミナー


 免疫グロブリン製剤はサイトメガロウイルス(CMV)感染症に直接関与するのではなく、細菌感染症対策を通して間接的にCMV感染症対策となる旨を発表しました。

 以前は私に臓器移植後の CMV感染症対策の問い合わせがしばしばありました。しかし、このセミナーを境にして、最近はめっきり問い合わせが少なくなりました。臓器移植の現場でサイトメガロウイルス(CMV)感染症対策マニュアルが整備されてきたからだろうと思います。
 このこともあって、最近、私はもっぱら先天性感染症としてのCMV感染に関わるようになってきてます。(先天性感染症繋がりで、先天性風疹症候群やトキプラズマ症、HIV感染症にも手を出してます。)

 臓器移植後のCMV感染症患者には、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、フォスカルネット等の抗CMV薬を使用できます。仮にそれらの投与によって骨髄機能障害などの副作用が出たとしても、血球輸血などの対応策が講じられます。
 しかし、胎児に対して抗CMV薬の投与はなかなかできません。抗CMV薬は副作用が強いですし、胎児に抗CMV薬の副作用が出現したら、その後の対応ができないからです。抗CMV薬は感染児の出生後にやっと使用できる状態です。

 感染症においては感染予防、診断・治療、後遺症対策が重要です。さらに先天性感染症においては、全胎児を対象にした先天性感染の診断、感染後の重症化阻止のための研究が必要になってくるかと思います。

 先天性感染症に対しては、まだまだやる事がたくさんありますね。

塩素消毒の濃度(ppm と mg/L)

 ノロウイルス対策の広報を出すというので、日南市役所から消毒薬の濃度について問い合わせがありました。
 無難なところで内閣府の食品安全委員会のホームページを紹介しておきました。

 でも、ホームページには次亜塩素酸ナトリウムの濃度が全部 ppm 単位で書いてあります。というわけで、ちょっと説明。

 ppm は parts per million の略です。million は 100万のこと。よって、ppm は全体を100万ppmとして表わしています。よく耳にする百分率(パーセンテージ)では全体を 100%で表わしています。

 ということで、
100% = 100万ppm
 1% = 1万ppm(1% = 10,000ppm)となります。

 次亜塩素酸化合物の濃度を表す単位として、もうひとつ mg/Lがあります。mg/L は分子がmgで重さ、分母がLで容積です。
 実は 1ppm = 1 mg/L で同じなのです。

 ppm は百分率と同様に割合を示しているので、液体の薬品を水でどれくらいの割合で薄めているかを表す時などに使われます。
 一方の mg/L は、重さがある固形物を水溶液にする濃度として使われます。

 『遊泳用プールの遊離残留塩素濃度は、0.4mg/L以上で1.0mg/L以下であることが望ましい』と、厚労省の局長通知が出されています。
 通知では mg/L が単位として使われています。すなわち、プールの塩素消毒剤はさらし粉(次亜塩素酸カルシウム)など固形物の利用を前提としていることが分かります。

母体の風疹ウイルスの感染時期と児の症状出現頻度

 THE LANCET という科学雑誌に風疹についてJE Banatvala らがセミナーをしています。
( Lancet, vol 363 Issue 9415, 2004年,pp1127-1137)

 母体の風疹ウイルスの感染時期と先天性風疹症候群の発生頻度について記されていますので、日本語にしてみました。

風疹症候群感染時期
↑ クリックで少し拡大

 やはり、風疹ウイルスは妊娠週数が早い時の感染ほど、児に影響を与えることがわかります(妊娠5ヶ月まで)。

 妊娠8週までの感染なら、先天性心疾患、難聴、白内障の三徴候がそろいやすく、妊娠13週以降でも難聴となる可能性があります。
 妊娠20週を過ぎた後では、母体が風疹ウイルスに感染しても児への影響は少なくなっています。

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